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どうにもならない小話を追加してみました

書きたいネタはあるのに致命的なまでの文章力の欠如により形にならないネタ
とか、書いたわいいけどオチのつかないしょうもないものを小話という形でブログ
にアップしてみることにしました。
龍如は特にSS書くのが難しい気がする・・・(文章力ないのを棚にあげてるだけ)

web拍手、ありがとうございます!
お返事は改めてさせていただきますv







内装工事が済んだばかりのまだ塗料の匂いが少し残る冴島組の事務所。
窓からは近くの公園に植えられた桜の木が良く見えた。
もう、盛りを過ぎて葉桜になってしまったけれど。
城戸は胸に付けた組のバッジを指先でいじった。
未だに自分がまだ神室町にいる事、このバッジをつけている事、あの人の傍に
いる事が信じられない。
少し前に、谷村から連絡があった。
新井が拘置所に身柄を移されたと。
刑が確定するまでの時間、新井はそこで過ごす事になる。
長くかかるかもしれない、とも谷村は言っていた。
新井自身に量刑を争うつもりがなくとも事が事だけに検察もどう扱うべきか
判断が難しくなるだろう。
裁判の争点を絞るだけでも大変な作業になる。
その話を聞いた時、城戸はどうして良いかわからない気持ちになった。
新井の事は尊敬していた。
今でも。
あんな風に裏切られたり、裏切ったりしてしまったけれど。
あの人の為ならどんな事でも出来ると思っていた自分がいたのも本当だった。
あの人に極道のいろはを教わった。
あの人がいなければ、自分は街でたむろするチンピラでしかなかった。
会いたいと思う。
どんな顔をして、何を言えばいいかわからないけれど。
「城戸ちゃん。」 
組長室のドアを開けて冴島が顔を出した。
「あ、冴島さん。お出かけですか?」
「いや、そうやない。」
冴島は城戸を暫く見つめたあとでふっと目を細めた。
「城戸ちゃん、会いに行ってもええんやで?」
「・・・・え?」
「新井に会いに行きたいんとちゃうんか?」
見抜かれていた。
その事に驚いて城戸は否定のポーズを取り損ねた。
冴島は酷く優しい顔で笑う。
城戸は何時もその微笑みを卑怯だと思っていた。
「冴島さん・・・俺・・・・は・・・。」
胸で光る冴の字のバッジ。
極道社会で行き場を失った自分を拾いあげてくれたのは冴島。
自分はもう、金村興業の人間ではないのだから。
 冴島は大きな手でぽん、と城戸の肩を軽く叩いた。
「俺の事、気にしてくれてるんやろ?ええんよ、城戸ちゃん。」
深く響く声がじわりと染み込む。
これも卑怯だ。
「新井の事、尊敬しとったんやろ?」
「・・・・はい・・・。」
「今でも嫌いやないんやろ?」
「・・・・はい・・。」
「なら、俺に遠慮せず会いに行ったらええ。」
刑務所に行ってしまったら血縁者ではない者の面会は難しくなってしまう。
それに。
「誰も会いに来んのは寂しいもんやから。」
実感のこもった重みを感じさせる冴島の言葉に城戸は黙って頷くことしかできなかった。

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